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東アジア民話データベースについて
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研究計画の概要
日本の民話研究は、その記録と分類において世界有数の水準を保っている。記録においては、柳田國男の『遠野物語』(1910年)以来の文字記録に加え、1960年代以降の膨大な音声記録があり、分類においても柳田の『日本昔話名彙』、関敬吾の『日本昔話大成』、稲田浩二・小沢俊夫の『日本昔話通観』など優れた成果がある。こうした日本民話の研究に加えて、外国民話研究者たちは、国際比較の立場から世界各地の民話を紹介し、分類整理してきた。とくに韓国民話研究の第一人者である崔仁鶴は『韓国昔話の研究』等を通じて、東アジアの話型比較を推進した。また、飯倉照平は「中国民話の会」を組織し、中国民話の紹介に努めてきた。こうした見事な研究成果は、ほとんど全てがアナログ媒体であるために、統一した検索が難しく、散逸の危機にも瀕している。 2001年以降、日本民話データベース作成委員会と沖縄伝承話データベース作成委員会は、日本における音声記録をデータベース化することによって、記録の散逸を防ぎ、約50000件のデータをデジタル保存し、検索可能なシステムを構築してきた。しかし、日本における民話調査の大半が民間レベルであるために、組織的な保存や、統一的なデータベース化が、いまなお不十分である。また音声データには、地域的な偏りがあり、全国を網羅するためには、文字化された資料を付け加える必要がある。幸い、日本の文字化された民話資料は、質量ともにきわめて高い水準にある。
アナログの音声データが散逸の危機にさらされている現在、これをまずデジタル保存することが急務である。そこに文字資料を加えることによって、文字と音声の資料を同時に検索することが可能なデータベースが誕生する。さらに、このシステムに外国民話の資料情報(とくに韓国・中国情報)を加えることによって、韓国や中国のデータベースとも補完し合いながら、日本独自の優れた特色を備えたデータベースが構築される。 2011年7月に韓国学中央研究院で開催されたシンポジウムにおいて、中国社会科学院、韓国学中央研究院、日本民話データベース作成委員会のデータベース作成責任者は、自国の現状を紹介するとともに、互に技術を公開し、情報を共有し、近い将来に日中韓共通の「国際東アジア民話データベース(仮称)」を構築することで合意した。本委員会の作成する日本語による「東アジア民話データベース」は、その完成にむかって大きな役割を果たすことになる。
東アジア民話データベース作成委員会 スタッフ
氏名 | 所属機関など(専攻分野) | 役割分担 |
---|---|---|
樋口淳 | 専修大学文学部教授(比較民俗学) | 総括・データ選定・システム設計・画像処理 |
常光徹 | 国立歴史民俗博物館元教授(民俗学・口承文芸学) | 監修・データ選定・校正 |
崔仁鶴 | 仁荷大学校名誉教授(民俗学 口承文芸学) | 韓国部門監修・データ選定 |
飯倉照平 | 東京都立大学名誉教授(民俗学 口承文芸学) | 中国部門監修・データ選定 |
大島廣志 | 國學院大学講師(民俗学・口承文芸学) | 日本部門監修・データ選定 |
米屋陽一 | 國學院大学講師(民俗学・口承文芸学) | 日本部門監修・データ選定 |
照屋寛信 | NPO法人沖縄伝承話資料センター理事長(口承文芸学) | 沖縄部門監修・データ選定 |
比嘉久 | 名護市教育委員会名護博物館係長(口承文芸学) | 監修・データ選定・校正 |
岸本敬 | 沖縄県立博物館・美術館 主任学芸員(民俗学) | 監修・データ選定・校正 |
馬場英子 | 新潟大学人文学部教授(民俗学・口承文芸学) | 監修・データ選定・校正 |
斧原孝守 | 奈良県立奈良高校教諭(民俗学・口承文芸学) | 監修・データ選定・校正 |
岩倉千春 | 日本民話の会運営委員(比較民俗学・口承文芸学) | 監修・データ選定・校正 |
高津美保子 | 日本民話の会運営委員(民俗学・口承文芸学) | 監修・データ選定・システム設計・校正 |
東アジア民話データベース作成の目的
日本の民話研究は、その記録と分類において世界有数の水準を保っている。記録においては、柳田國男の『遠野物語』(1910年)以来の文字記録に加え、1960年代以降の膨大な音声記録があり、分類においても柳田の『日本昔話名彙』、関敬吾の『日本昔話大成』、稲田浩二・小沢俊夫の『日本昔話通観』など優れた成果がある。こうした日本民話の研究に加えて、外国民話研究者たちは、国際比較の立場から世界各地の民話を紹介し、分類整理してきた。とくに韓国民話研究の第一人者である崔仁鶴は『韓国昔話の研究』等を通じて、東アジアの話型比較を推進した。また、飯倉照平は「中国民話の会」を組織し、中国民話の紹介に努めてきた。こうした見事な研究成果は、ほとんど全てがアナログ媒体であるために、統一した検索が難しく、散逸の危機にも瀕している。
2001年以降、日本民話データベース作成委員会と沖縄伝承話データベース作成委員会は、日本における音声記録をデータベース化することによって、記録の散逸を防ぎ、約50000件のデータをデジタル保存し、検索可能なシステムを構築してきた。しかし、日本における民話調査の大半が民間レベルであるために、組織的な保存や、統一的なデータベース化が、いまなお不十分である。また音声データには、地域的な偏りがあり、全国を網羅するためには、文字化された資料を付け加える必要がある。幸い、日本の文字化された民話資料は、質量ともにきわめて高い水準にある。アナログの音声データが散逸の危機にさらされている現在、これをまずデジタル保存することが急務である。そこに文字資料を加えることによって、文字と音声の資料を同時に検索することが可能なデータベースが誕生する。さらに、このシステムに外国民話の資料情報(とくに韓国・中国情報)を加えることによって、韓国や中国のデータベースとも補完し合いながら、日本独自の優れた特色を備えたデータベースが構築される。
2011年7月に韓国学中央研究院で開催されたシンポジウムにおいて、中国社会科学院、韓国学中央研究院、日本民話データベース作成委員会のデータベース作成責任者は、自国の現状を紹介するとともに、互に技術を公開し、情報を共有し、近い将来に日中韓共通の「国際東アジア民話データベース(仮称)」を構築することで合意した。本委員会の作成する日本語による「東アジア民話データベース」は、その完成にむかって大きな役割を果たすことになる。
東アジア民話データベースの利用規定
- (1) 本ホームページ上に公開されたデータの利用は、研究・教育など公共目的にかぎられます。
- (2) 本ホームページ上に公開されたデータの著作権は、音声データの場合は個別の語り手と聞き手(記録者)双方に存し、文字データの場合は、当該データの執筆者に存します。
- (3) 東アジア民話データベース作成委員会は、当該著作権者の了解の下に、著作権保護上必要な管理業務を行いますが、当該業務から仲介手数料などの料金が発生することはありません。本委員会の著作権管理業務は無料です。
- (4) 本ホームページ上に公開されたデータのダウンロード等による二次使用を希望する場合には、以上3点を了承のうえ、東アジア民話データベース作成委員会に許可を求めてください。
- (5) 東アジア民話データベース作成委員会は、本データベースの使用が、研究・教育など公共目的に合致すると判断される場合には、すみやかに使用許可を与えます。
- (6) 本ホームページ上に公開されたデータを、東アジア民話データベース作成委員会の許可なく使用し、著作権法上の違法行為を行った場合、責任は当該違法使用者にあります。
- (7) 本ホームページ上に公開されたデータを、東アジア民話データベース作成委員会から教育・研究目的使用で許可をえた場合も、許可範囲を逸脱し、教育・研究以外の目的に使用し、著作権法上の違法行為を行った場合には、責任は当該違法使用者にあります。