東アジア民話データベース

桃井ユリさんの語り

桃井ユリさんの語りです。
桃井ユリさんは、明治二八年の生まれです。
ここに収めた昔話は、昭和四五年4月から昭和五一年八月まで、約六年間のわたり、浜口一夫さんがユリ婆さんから聞いた約百話余の昔話から選んだものです。

ユリ婆さまは、南佐渡の羽茂町村山に生まれ、一八歳の春、隣町小木の桃井茂八家に嫁ぎました。
小木は和船時代「出船千艘、入船千艘」とうたわれ、日本海を航海する船でにぎわった町です。

ユリ婆さまの語りことばは、温かみとまるみがあり、どちらかというと関西系のにおいが強いようです。
これはかっての西まわり廻船のもたらした影響かも知れません。
対岸の越後ことばとは異質のひびきとニュアンスを持つのが不思議です。

ユリ婆さまの語りには、巧みな擬声語、擬態語がよく出てきます。
そしてそれらは、その語りに昔話独特の色あいを添え、その表現は実に素朴で古風な美しいリズムを持っています。
桃井ユリさんの語りは浜口一夫編著、語りによる日本の民話『南佐渡の民話』(国土社、昭和六三年刊)に収められています。

語りは、mp3 の形式で録音されています。
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